炎症性腸疾患 (IBD)とは

潰瘍性大腸炎で起こりうる腸管合併症

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星谷
星谷

こんにちは、星谷です。

潰瘍性大腸炎で起こりうる合併症には、「 腸管合併症 」と「 腸管外合併症 」があります。

腸で起こるのか、それ以外の所で起こるのかの違いですね。

このページでは、その内の「 腸管合併症 」についてまとめています。

「合併症」という呼称そのものの意味については、下記をご覧ください。

https://ibd-life.com/about-complication/

腸管合併症

潰瘍性大腸炎の症状が原因で 腸に起こる可能性のある病気・症状の一覧です。

大出血

まんまです。血が大量に出てしまう状態のことです。

潰瘍性大腸炎では、「トイレみたら出血してた」なんていう「下血 (げけつ)」はよくある症状のひとつですが、

重度の炎症がある場合には、その血の量がちょっとどころじゃなくなります。

重度の潰瘍からは大量の血が滲み、貧血やショックなどを起こしてしまう可能性もでてくるんですね。

あまりにも出血量が多い場合は輸血が必要になり、状態が改善されなければ手術の適応になる場合があります。

星谷
星谷

ちなみに、私はまさにこのパターンで手術に至りました。輸血をしても、どんどん血が出ていっちゃうから、輸血の意味がないという…。

どこからが大量出血よ?と思うかもしれませんが、何も食べてないのに血だけは大量に出てくるので、「やばい」ってなると思います。

ふらつきを感じ始めた時には要注意です。

中毒性巨大結腸症

大腸に強い炎症が起きていると、腸のはたらきも弱まり、ガスや毒素をうまく排出することができなくなることがあります。

それらが溜まりつづけると、やがて腸管はふくらみ、大腸が破裂してしまう可能性があるんです。恐ろしや…。

破裂すれば、そこから腸内のものが流出し 感染症を起こすなど、場合によっては死に至る危険性もあります。

狭窄(きょうさく)

炎症の回復と悪化を繰り返していると、腸の壁がねじれたり狭くなったりしてしまう事があります。

狭くなると、本来通るはずのものも 通りにくくなってしまいますよね。

狭窄がひどくなると腸閉塞を起こすため、決して軽視できない症状です。

術後に起こりうる狭窄

潰瘍性大腸炎においては、外科的手術を経験した方のほうが狭窄は身近な存在でしょう。

消化管の手術後、縫った所 (=吻合部 ふんごうぶ) が狭くなってしまうことがあるからです。

こちらも同様に、ひどくなれば腸閉塞を起こしてしまいます。

腸閉塞(ちょうへいそく)

狭窄がひどくなると腸閉塞を起こすことがあります。

イレウスとも呼ばれ、腸管がねじれたり狭くなったりするなどして、食べたものが通過できずに詰まってしまった状態のことです。

炎症性のポリープが生じたことにより、腸管が塞がれてしまう場合もあります。

腸閉塞が起きると、お腹が張り、吐き気、おう吐、腹痛などが生じる他に、便やガスが出なくなることもあります。

ごく軽度であれば、お腹を温めたり絶食したりするなどして改善がみられる場合もあるようですが、

ひどければ鼻からチューブを挿して溜まっているものを吸引するといった処置や、手術の適応となる場合もあります。

できればどちらもしたくないですよね……。

術後に起こりうる 腸閉塞

術後の腸閉塞には、麻酔などによって腸の動きが鈍くなっていることによって起こるものと、癒着 (ゆちゃく) が原因となって起こるものがあります。

癒着とは、腸 と 腸 や、腸 と 創部 などがくっついてしまうことです。

術後、はやくに離床 (りしょう)して歩くように言われるのは腸閉塞を防ぐためなんですね。

穿孔(せんこう)

臓器などに穴があいてしまうことです。

潰瘍性大腸炎の炎症は、主に腸の粘膜層に生じるものですが、

それでも重度の症状だと話は別で、更に深い筋層にまで到達する潰瘍が生じる場合があります。

仮に穴があいてしまった場合、それ自体が激しい痛みを伴うものであり、

そこから腸内のものが腹腔内に漏れ出てしまえば、腹膜炎などを生じる危険性があります。

大腸がん

潰瘍性大腸炎の患者は、そうでない人に比べて大腸がんになるリスクが高いといわれています。

全大腸型がもっともリスクが高く、発症してから年月が経つほどに注意が必要となります。

そのため、定期的な内視鏡検査を行うことが大切です。

炎症を抑えることが合併症の予防につながる

芝生に置かれた病院を模した木製の置物

ずらっと挙げてみましたが、いかがでしたでしょうか。

「結構こわいな」と思う病名も ちらほらあったかと思います。

これらはいずれも、炎症が元となって生じるものたちです。

潰瘍性大腸炎の症状を悪化させないことが、合併症を起こさない一番の方法だといえます。

寛解の維持の大切さがわかりますよね。