潰瘍性大腸炎の概要
潰瘍性大腸炎
(かいようせい だいちょうえん)
英:Ulcerative Colitis は、
ざっくり言うと、大腸の中に炎症や”ただれ”が出来てヤバい難病のこと。
クローン病(CD)と共に、炎症性腸疾患(IBD)に分類されています。
潰瘍性大腸炎と何度も言うのは面倒くさいので、患者間でしゃべる時なんかは、英語名の略称:UC(ゆーしー) をよく使います。
年々患者の数は増えており、2017年時点で約17万人程いるといわれています。
発症する年齢は10~30代が多いようですが、50~60代での発症もみられます。男女比は同じくらい。
近年は「友達の友達にいるらしいよー」「会社の人がそれらしくてさ~」なんていうのも珍しくなくなってきました。
ただ、「お腹が弱いっていうのとかは聞いたことあるけど、具体的な症状についてはよく分からないや」という方も、まだまだ多いのではないでしょうか。
どんな病気なのか
病名の文字通り、大腸の粘膜に炎症が起きて、びらんや潰瘍が形成される病気です。
「びらん」 とは、いわゆる「ただれ」のこと。
潰瘍 (かいよう)は、ただれが更に深い状態――えぐれているってことですね。
口内炎を想像すると分かりやすい
口内炎になった時のことを思い出してみてください。
ひどくなってきた口内炎って、よく見てみると赤く腫れた所の真ん中が白っぽくなってて、そこが特に痛みますよね。
あの白っぽくてクレーターみたいになってる状態、あれも「アフタ」といって浅い潰瘍みたいなものなんですよ。
アフタの傷が更に深くなると「潰瘍」と呼ばれます。
その潰瘍が大腸の一部、または全域に発生するって考えたら、中々に恐ろしいでしょ……。
まず潰瘍って字面がなんか強い!
口内炎のあるところに歯やお醤油がちょっと触れただけで「痛っ!」となるように、
潰瘍性大腸炎で炎症が起きてしまった大腸もまた、食べものや飲みものが通った刺激でしみるし痛むんです。
主な自覚症状
よくある自覚症状としては、主に下痢、粘血便、腹痛、発熱があります。
症状が重いと、出血量の増加、体重の減少、高熱、出血多量による貧血など、色々と出てくるので注意が必要です。
また、時には潰瘍性大腸炎を原因とした合併症を生じる場合があります。
病変の特徴
多くの場合は、直腸の方から連続的に炎症が拡がっていくと考えられています。
腸の壁はいくつかの層が重なって出来ているのですが、
潰瘍性大腸炎の炎症は 粘膜上皮に生じることが多く、深い筋層の方にまで及ぶことは稀なようです。
また、潰瘍性大腸炎にはいくつかの分類があります。
これらの要素を考慮して、医師はその方にあった治療法を検討してくれます。
病変の拡がりによる分類
直腸炎型
炎症の範囲が直腸に限局しているもの。
遠位(えんい)大腸炎型
炎症の範囲が直腸からS状結腸に限局しているもの。
左側(さそく)大腸炎型
ざっくり言うと大腸の左側……
直腸から脾彎曲部 (ひわんきょくぶ) の範囲に炎症がある状態のこと。
全大腸炎型
まんま大腸全体に炎症があることです。ちなみに私はこれでした。
症状の重さによる分類
排便回数、血便、発熱、その他の症状の程度から、「軽等症」「中等症」「重症」に分類されます。
重症よりさらに症状が重篤なものは、「劇症 (げきしょう)」といいます。
症状の経過の傾向による分類
再燃寛解型(さいねんかんかいがた)
良くなったり (寛解) 悪くなったり (再燃) をくり返すタイプ
慢性持続型(まんせいじぞくがた)
炎症が慢性的にあるので、寛解があまりみられないタイプ
初回発作型(しょかいほっさがた)
一度発作的に症状が現れたあと、寛解してその状態が続いているようなタイプ
急性・再燃 劇症型
発症してからあまり間をおかずに状態が悪くなったものを「急性劇症型」、
再燃時にひどくなってしまったものを「再燃劇症型」といいます。
病気になる原因は?
まだはっきりとした原因は分かっていません。
免疫機能の異常、食生活の欧米化、遺伝的素因など、様々な要素が複雑に影響しあって発症するのではないかと考えられています。
原因不明、かつ長期的な治療が必要である事から、厚生労働省の指定する難病のひとつとなっています。
……え、それって治るの?
現時点での医学では、完治(と言い切ってしまうこと)は難しいとされています。
症状には波があり、落ち着いている時のことを寛解期 (かんかいき)、炎症がある時のことを再燃期 (さいねんき)といいます。
症状が落ち着いている=寛解 (かんかい)
患者側の身としては、はっきり完治するって言い切ってほしい気持ちはすんごい分かる。本当に。
だが、しかし。
原因が不明な以上、何をもって完治とするのかの定義が難しいこともあるし、原因から何からはっきりしていたら、難病にも指定されていないわけで……。
長く症状が落ち着いている状態のことは、基本的には「 症状が寛解 (かんかい)している 」と形容します。
完治という言葉に惑わされないでほしい
時折「完治しました!」というのを見かけるけど、それは何年も症状が出ていないとかで、
結果的に「もうこれ治ったって言っていいんじゃね?」と思って発言しているのだと思われる。
そういうのを見かけたら、「そっか。この人は長らく寛解しているんだな」くらいに捉えておくのが精神衛生上よいと思います。
あ。もちろん未来に希望を持つこと自体を否定してるわけじゃないですからね!
いま現在も原因解明に向けて日夜研究してくださってる方々がいて、治療法や薬も時代と共にどんどん進んでいくのだろうし、
いつか「治った!」って言い切れるその日を希望に、モチベーションアップに繋げられるなら、どれだけ思いを馳せたっていいんです。
ただ時に、「完治」という、淡い期待を抱かせる言葉が心身に負荷をかける場合もあるんじゃないかな、と。
なんか上手く伝えられないのが申し訳ないけども^^;
大事なのは安定した状態を維持すること!
「なんで完治したとか言う人がいるのに、私はこんな状態が続いてるんだろ…」
もし、そんな風に思い悩んでいたら、もう一旦 完治どうこうの話は忘れちゃってください。
はい!オブリビエイト!(忘却呪文)
今あなたが、少しでも快適な生活を送ることができるようになる、それが何よりも大事なことです。
そう……潰瘍性大腸炎 患者にとって重要なこと。それは、「寛解の状態を長く維持する」ということ。
食生活に気を付けたり薬の力を借りたりしながら、病気と上手く付き合っていく、という感覚がとても大切になってきます。
もしかしてこの病気かも…と思ったら
病院いくのは嫌だな~って思いますよね。その気持ち、痛いほど分かります……。
ですが、それでも……!
できるだけ早くお近くのクリニック (診療所)にかかることを 私はおすすめしたい。
かかる時は 消化器内科・胃腸科 を
大腸が怪しい、と自覚している場合であれば、消化器科や胃腸科あたりを掲げているクリニックを受診するのが良いです。
(わけわからん医師にかかると 診断までが長引くこともあるので、どうか病院えらびは慎重に……!)
炎症があるかどうかは採血の数値である程度わかるので、できれば血液検査をしてくれる所が望ましいですね。
採血してもらえないか聞いてみるのはとても有効な手段です。